うつ病を患っている人や大きなストレスに悩まされている人にとって、

「うつ病を一気に改善できたらいいのになぁ」
「このストレスを一気に解決できる方法は何かないかな」

といったように、「改革」を起こして一気に解決したいと思う人は多いと思います。


しかし、「脳が教える一つの習慣」ではその「改革」は実は逆効果であるということを教えてくれます。

これについては前回の記事でも触れているので参考にしてみてください。

前回記事:>>人生を本当に変えたいなら「脳が教える一つの習慣」を読もう!


さて、ではどうして一気に問題を解決できる理想的な「改革」を求めることが逆に自分を苦しめることになるのか。

その理由についてこのページでお話していきたいと思います。

人はなぜ「改革」に失敗してしまうのか

脳が教える一つの習慣では、とても素晴らしい例が記載されているので、まずはその例を抜粋して引用した箇所を読んでみてください。

彼女はうつむいたまま診察室に座っていた。

ジェリーは離婚して二人の子供を育てる母親で、本人の話では少々うつ気味。精神的にかなりまいっていた。公的扶助はあてにならず、彼女はなんとか仕事にしがみついていた。

標準より15キロほどオーバーした体重とストレスの急激な増加で、糖尿病、高血圧症、心臓病、それにもっと深刻なうつ状態になるリスクが高かった。このまま何もしなければ、病と絶望の悪循環に陥るのは明らかだった。


ジェリーのような患者には、安上がりで効果が実証ずみの方法があった。大量の薬や何年もかかる心理療法ではない。新聞やテレビのニュースを良く見ていたら察しがつくだろう。

そう、運動だ!


ジェリーの健康面の問題は、ほぼすべて改善されるだろうし、きびしい日常に耐え、元気に過ごす体力もつくだろう。

かつての私なら、無料で効果抜群のこの処置を、新しく生まれ変わってほしいという熱意をこめて進めただろう。

——ジョギングをしなさい!自転車に乗りなさい!エアロビクスのビデオを借りてきなさい!

~中略~

けれども、彼女の眼の下のクマを見ていると、私の心は沈んでいった。

これまで運動を勧めた患者は数百人にのぼるだろうが、それを無意識のうちにラクにこなせるような「習慣」に出来た人は、ごくわずかだ。

~中略~

私には先が読めていた。医師が彼女に運動を勧める——するとジェリーは医師に理解されていないという思い(運動する時間なんてどうやって見つけるの?私のことなんて何もわかってくれない!)と、罪の意識の両方を抱くだろう。


この例に出てくる女性、ジェリーの場合、様々なストレスにより精神的にかなり参っていて「うつ病」になるリスクが非常に高い状況に陥っています。

そして、それを解決するお金の掛からない効果的な方法があり、それが「運動」です。


運動をすれば、体力は増えますしうつ病の症状が改善されていくのは様々な研究結果から明らかです。


運動は心身ともに素晴らしい効果を挙げるというのは誰もがわかっていることではありますし、「やったほうがいいこと」というのも間違いなく明らかなことです。

しかし、「運動をしましょう!」といったところで、それを実際に継続して実行できる人はほとんどいないというのが大きな問題なのです。

人はそう簡単には変われない

みなさんも、「やったほうがいいこと」というのはたくさん心当たりがあるのではないでしょうか。


うつ病の症状やストレスで悩んでいる人なら

・運動
・過去のストレスやトラウマと向き合う
・対人関係に関する本を読む
・深呼吸の癖をつける
・リラックスできる音楽を聴く
・精神科に行く

などなど、たくさんあると思います。


そうでなくても、

・ダイエット
・スキルアップのための勉強
・部屋の大掃除
・健康のためのスポーツ

などなど、「やったほうがいいこと」というのは山ほどあると思います。


でも、「やったほうがいいこと」は分かっているのにそれを実行したり継続したりすることは非常に難しいことです。


やったほうがいいのは分かっている。

でも、面倒くさい。やる気が出ない。そんな気力が無い。疲れているからやりたくない。

そういった思いに負けてしまい「やったほうがいいこと」は理想の夢として実行されません。


そして、悪循環は改善されていかないのです。

どうしたら人は変われるのか?

「やったほうがいいこと」を実行したり継続することは難しい。

それはみなさんも十分わかっていることだと思います。

そして先ほどの例に出てきたジェリーにもそれは当てはまるでしょう。


しかし、ジェリーは「やったほうがいいこと=運動」を始めることができるようになったのです!


一体どうやってジェリーは運動を始めることが出来たのか、それについてまた「脳が教える一つの習慣」から抜粋引用して紹介したいと思います。

ジェリーの話を聞いていた研修医は、予想通り、運動する時間をつくることが大切だとジェリーに行った。

ほぼ毎日、少なくとも30分は汗をかく程度の有酸素運動をしなさい——まさに不信感と怒りを買いやすいアドバイス——と研修医が言った途端、私は思わず口をはさんでいた。


「毎日『1分だけ』、テレビの前で足踏みをしてはどうでしょう?」


研修医は、信じられないといった視線を私に向けた。

ところがジェリーはほんの少し表情を明るくして言った。

「それなら、やれるかもしれません」


つぎに診療室を訪れたとき、ジェリーは毎晩一分間、テレビの前でちゃんと足踏みしていると報告してくれた。たしかに、負荷の低いエクササイズをたった60秒やるだけでは、体調にたいして変化は見られなかった。

けれども、そのつぎの診療の際、ジェリーの態度に変化が見て取れた。

エクササイズに失敗した多くの人たちのように、落胆した様子はなかった。それどころか、彼女は以前より生き生きとしており、その話しぶりや振る舞いからためらいが薄れていた。

~中略~

わたしはわくわくした。

たしかに小さな成功だが、これまでのようなすべてにやる気をなくした姿にくらべればずいぶんマシだった。


私たちは分単位で時間を伸ばしながらエクササイズを「習慣」として確立させ、ジェリーをより健康な生活へと徐々に導いた。


数か月の間に、ジェリーはもっと完璧なフィットネスプログラムにも抵抗がなくなっていることに気が付いた。そのころには本格的なエアロビクスにレベルアップしたくてたまらなくなっていたのだ——そして、定期的に夢中で取り組むようになった。


同じころ、私は「小さな一歩を実践する習慣」を医療センターの他の患者にも試すように勧めていた。クリニックのクライアントにも、私がコンサルタントを務める企業にも導入した。


そして、いまこの本の中でも紹介しようとしている。

最初はささやかすぎて、とまどうような方法を。


「毎朝『1分だけ』テレビの前で足踏みをする」

それをジェリーは
「それならできるかもしれない」
と思い、実行に移します。

そしてそこから少しずつ分単位で時間を伸ばしていき、数か月後にはエアロビクスを始めるほどに成長していたのです。


このように、「やったほうがいいこと」をやるためには「これぐらいなら出来るかもしれない」ということをスタートラインに設定することがとても重要になってくることが分かります。


一見、馬鹿らしいスタートの切り方だと思うかもしれません。

実際、1分の足踏み自体にはほとんど効果がありません。

しかし、一気に状況を改善しようとして
「一日1時間ジョギングをしよう!」
と決心したとしても挫折してしまうよりはるかに良いと思いませんか?

ポイントは大きな変化を起こそうとして脳が恐怖を起こさないようにすること

今回のお話で重要なポイントは、
「毎日30分の運動を勧めるのではなく、毎日1分足踏みをするだけを勧めたところ成功できた」
というところにあります。


つまり、「頑張れば出来る」というような大きな改革を起こすと失敗してしまいますが、「それなら出来る」と思えるような控えめな変化を試みることで成功出来るかもしれないということです。


そして、大きな変化を試みることは脳にとって恐怖を生み出し失敗する確率が高いということ、小さな変化なら脳は恐怖を感じずに気づいたら習慣に出来るようになること、ということです。


このことは、うつ病の症状やストレスの改善にも同じことが言えます。

例えば、うつ病の症状が酷い方や酷いストレスに悩まされている方は、当サイトで勧めているサプリメントの摂取(栄養療法)すら面倒に思えてしまうほど気力を失っている場合があります。(当然私もそういった状態に陥ったことがあります)


「サプリメントを飲む」

ただそれだけのことですら面倒に思ってしまう場合、どうしたらいいと思いますか?

サプリメントを飲めるようになるために、「小さな一歩」を踏み出すためにはどうするのが良いと思いますか?


そのことについては次回の記事でもう少し詳しくお話させていただきたいと思います。