女性で疲労感が強い場合、真っ先に疑わなければいけない病気は、貧血です。



「え?この疲労感は貧血のせいなの?貧血と言えば、立ちくらみとかだけだと思ってた・・・」

こう思われる方も多いでしょう。


疲労感が強く「自分はうつ病かもしれない・・・」と思っていた人が実は貧血だったというケースは多いと言われています。

しかし、貧血から「うつ病」になるというケースもあります。

この貧血と鬱病の関係性についてお話ししていきます。


まずは貧血かどうかをチェックして、それからうつ病かどうかをチェックしていきましょう。

貧血とは?

貧血とは、血液中の酸素が少なくなっている状態で、全身の細胞が酸素不足となりエネルギー不足となっている状態です。

エネルギーが不足したことにより、疲労感を引き起こし、日常の活動に支障をきたします。


貧血には、いくつかのタイプがあるのですが、最も多い症状が『鉄欠乏性貧血』です。

名前の通り『鉄』が不足することによって起こる貧血です。


血液中の酸素は、赤血球の中にある『ヘモグロビン』と呼ばれるたんぱく質と結合します。

赤血球がヘモグロビンに酸素を取り込み、血液の流れに乗って全身に酸素を運んでいきます。

ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ重要な役目を果たしているのですが、このヘモグロビンの構成成分が『鉄』なのです。


鉄が不足するとヘモグロビンが不足します。

ヘモグロビンが不足すると、酸素を運ぶ力が不足します。

酸素を運ぶ力が不足すると、全身で酸欠が起こります。

全身で酸欠が起こることにより、強い疲労感や倦怠感が生まれます。


これが『鉄欠乏性貧血』なのです。

簡易血液検査をしても分からない『隠れ貧血』かも?

自分が貧血かどうかを知るには、血液検査をすればいいと思っている人も多いと思います。

確かにその通りなのですが、場合によっては血液検査で異常が出なくても貧血の可能性はあるのです。


血液検査では通常、「ヘモグロビン」「ヘマトクリット」「赤血球数」「赤血球恒数」の4項目で審査し、いずれかの数値が基準値を下回ると、貧血の疑いがあります。

とくに「ヘモグロビン」は鉄欠乏性貧血の診断に重要な項目となります。


しかし、このヘモグロビンが基準値に収まっていても、実は『隠れ貧血』である可能性があるのです。

ここで書籍から一つの例を引用して紹介しましょう。

40歳の女性、Aさん。
職場ではリーダー的地位を担い、私生活では離婚して子供を育てており、ストレスの多い日々を過ごしていました。

訴えによると、いつごろからかはっきりしないが、仕事後の疲労感がひどくなり、帰宅すると体を動かすのがつらくなり、休み休み出ないと夕食も作れない状態になった。それほど疲れているのに、夜は眠れず睡眠不足が続いた。睡眠不足のせいか、肌荒れがひどく、口内炎もできやすくなった。

職場の健康診断で、担当医に疲労感と睡眠不足を訴えたところ、「貧血ではないようだし、うつ病かもしれない・・・」と告げられたとのこと。


このケースの場合、Aさんの血液検査の結果は、ヘモグロビンは下限値近かったですが、4項目とも基準値の範囲内でした。

そのため、担当医は「貧血ではなく、うつ病の疑いがある」と診断したわけです。


しかし、この検査は「貧血」の有無を調べる検査であって、「鉄欠乏」の有無を調べる検査ではありませんでした。

著者のクリニックで改めて鉄欠乏の検査したら、中程度の鉄欠乏症だったそうです。


このようなケースを、『潜在性鉄欠乏』といい、『隠れ貧血』とも言われたりします。


貧血は「ヘモグロビン」が不足している状態です。

鉄欠乏は「鉄」が不足している状態です。


鉄欠乏には
・「ヘモグロビン」が少なく貧血のある鉄欠乏
・「ヘモグロビン」は異常ではない貧血のない鉄欠乏
の2種類があります。

この後者が隠れ貧血と言われるわけです。

鉄欠乏とは?鉄の効果・効能とは?

さて、ここまで貧血についてお話してきました。

貧血は鉄欠乏が引き起こすというお話しもしました。

この『鉄』ですが、体ではどういった役割を果たすのでしょうか?


鉄には様々な健康のための要素があります。

鉄は「皮膚・粘膜の維持」に関わっています。

鉄不足によって、
・肌荒れ
・口内炎
・口角炎
・胃腸症状(胃腸粘膜のトラブル)
・デリケートゾーンのトラブル
などの症状が起きやすくなります。


また、鉄は「免疫力の維持」にも関わっています。

体内に細菌やウイルスが侵入したとき、『免疫細胞』がこれを抑え込み『活性酸素』を発生させます。

活性酸素により細菌などを退治し、感染を防止してくれます。


この活性酸素の発生に関わっているのが『鉄』です。

鉄が不足していると、活性酸素が生まれにくく、免疫力も低下するというわけです。


ちなみに、活性酸素は老化の原因とも言われますが、この活性酸素を消去する『カタラーゼ』という消去酵素の生成にも鉄が関わっています。


そして、鉄は血液中の酸素(エネルギー)を運ぶ大事な要素にも関わっています。

先述しましたが、鉄はヘモグロビンの生成に関わっており、酸素の運搬、エネルギーの生成に関わっています。

鉄が不足し、酸素不足となると「強い疲労感や倦怠感」を生み出すわけです。

脳が酸素不足となることにより、立ちくらみやめまいも引き起こします。


鉄不足がうつ病を引き起こす

ここまで様々な鉄の働きについて紹介しましたが、これだけではありません。

鉄は「セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」などの神経伝達物質の合成にも携わっています。


これらの神経伝達物質は、下記のような役目を果たします。

セロトニン:気分の安定など
ドーパミン:意欲、達成感の向上など
ノルアドレナリン:覚醒レベル、積極性の向上など

これらの成分が不足すると「うつ病」を引き起こすというのは有名だと思います。


うつ病の原因が鉄欠乏の可能性がある
ということです。


「自分はうつ病かもしれない・・・」

と思っている方で、次の症状も当てはまる場合は、『鉄欠乏』の可能性があります。

・皮膚や粘膜のトラブルが多い(口内炎や肌荒れなど)
・寝つきが悪い、または夜中や朝方に目覚めてしまう
・よくアザができる
・立ちくらみやめまいがよく起きる
・筋力の低下を感じる(階段の上り下りや荷物運びなどが辛く感じる)
・夕方~夜に疲れがでて動けなくなる
・月経量が多い



いかかでしょうか?

うつの症状に加え、これらの症状が出ている場合は、『鉄欠乏』を強く疑った方がいいです。


また、簡単に自分が鉄欠乏かどうかをチェックする方法があるので紹介します。

簡単な鉄欠乏チェック方法

鉄欠乏をチェックする方法として、「下まぶたの裏の色をチェックする」という方法があります。

鏡の前でアッカンベーをしてみてください。

このとき、下まぶたの裏の色が、白っぽくみえた場合は要注意です。


健康な場合は、血液が透けて見え全体的に赤色を示します。

目との境界線あたりが白っぼく見える場合、その範囲が大きければ大きいほど鉄欠乏の疑いが強まります。




ここまでの重要事項は上記の通りです。


自分が貧血かもしれない、ということが分かった場合、鉄を摂取しなければいけませんが、どのように効率的に鉄を摂取すればいいのかというお話しについて、次のページでお話ししたいと思います。

次回記事:鉄分(ヘム鉄)の多い食品、食べ物は?1日の必要摂取量は?